北千住という住宅街でみせるキッチンカーの新たな展開とは
──現在ユニベルHDでは、北千住の空き地にキッチンカーを展開させているとお聞きしました。
八田 北千住駅東口の駅前徒歩1分の場所に、1月以降に工事を控えた空き地がありまして、その空き地の活用を考えたオーナーが、不動産事業者に依頼をかけたそうです。その後、不動産事業者がキッチンカーの誘致が可能な業者をピックアップし、プレゼンの結果で業者をきめることに。その際に、弊社にも声がかかりましたのでプレゼンさせて頂いたところ、弊社で活用させて頂くことになりました。
現在は、キッチンカー数台を誘致してこちらの空き地の活用をしています。
商店街に面した空き地で、時間帯によっては歩行者専用道路となるため非常に出店に適した場所です。
駅前にも関わらず、北千住という土地柄から街中という空気感もあり、1本道を入ればそこはもう住宅街。そのため非常に面白い場所ですし、弊社としても一番やっていきたいマーケットといえます。
すぐ近くには大学やスポーツジムなどもあるため人の流れもあり、空き地の活用例として、非常に分かりやすい場所と言えるでしょう。
(写真提供:ユニベルHD)
空き家・空き地に活用…キッチンカーを通した街作りとは
──今後北千住という場所でやってみたいことはありますか。
八田 今この北千住の空き地でキッチンカーを展開させて頂いていることから、足立区とお話もさせて頂いております。
北千住の東口は、実は西口に比べると高齢化が進み静かな街なため駅前の1区画を大々的に再開発をかけるのだそうです。
将来的には再開発後にオープンスペースができる予定ですので、その場所にキッチンカーを出店させて頂くお話などをしています。
キッチンカーを誘致することは、ただ店を誘致するということではありません。
キッチンカーの持つ明るい雰囲気が、場所の空気感をも作り変えます。
もちろん場所によっては、売り上げ重視の目の回るような忙しさの中で商品をさばくだけの営業になることもありますが、その一方である程度人のながれがゆっくりとした場所では、キッチンカーは温かい食事とともにコミュニケーションもお客様に届けることができるのです。
弊社としては、キッチンカーを通して人々とコミュニケーションを取ることによって、人との交流を作り、そこに新しい街づくりがしたいと考えています。
── キッチンカーでの空き地活用の先に街作りがあるということですね。
八田 ユニベルHDでは、ただ空き家を活用するということではなく、その先にある街作りなどに貢献していきたいと考えています。
我々は何も、ロボットが給仕するキッチンカーで、無機質に食事だけの提供をしたいわけではありません。
このキッチンカーというコンテンツを使って、コミュニケーションをとり、街が明るく元気にできたらいいなと。
それなのでビル街ではなく、この北千住のような街中は弊社にとって大切な拠点といえます。
── 最後に今後の事業展開についてお聞かせ下さい。
八田 短期的には、現在の事業をもっと多くの人に知っていただいて、こうした移動販売車などのサービスをご利用いただく数を増やしたいと思います。
その上で、できれば今後はさまざまな企業を巻き込んで、スポンサーなどをつけ地域活性化の主軸となるような空間を作りも計画中です。
具体的な話をしますと、例えば家の周りにお店などがなく買い物難民となっている高齢者の方が地方には多くいらっしゃいます。
単純に考えれば、移動販売車がそうした地域をまわれば問題が解決するように思いますが、そうした場所というのは街から遠い場所にあり、ガソリン代も移動時間もかかるのです。
こうなってしまいますと、いくら商品を売ったとしても収益性が落ちてしまいます。
ですので、こうした地方再生のためにスポンサーがつきお金を出すことで、すべてがきれいに収まることに。
費用対効果があわないからこそ、スポンサーをつけることにより仕組み作りができますし、それ以外にも企業だけではなく国や自治体による税制を優遇するなどのサポートもあれば、業界としてもいい方向に行くのではないかと思うのです。
現在キッチンカーの収益としては、エンドユーザーから飲食代だけをもらって、それをこの事業に関わる人々でシェアしています。
本当に限られたキャッシュの中での事業展開となり、これではいつまでたっても発展がありません。
だからこそ、先ほど提案したような買い物難民の救済に向けてスポンサーをつけるなど、別の形でマネタイズできればと思います。
これまで日本は高度経済成長を迎えてビルをはじめ様々な種類の不動産が次々と建設され増えました。しかし現在では人口が減少し、空き家が増え課題が出てきているのです。
課題解決の一つとして、キッチンカーや移動販売車などを使って、空き家の活用だけなく、その周辺をも巻き込みながら街づくりや地方創生をすすめ、その上で国の改革ができればいいなと考えています。
さらに、このノウハウをこれから高度経済成長へと向かう国などに輸出できれば日本だけでなく世界にむけて社会の持続的成長するための方法を提示できると思うのです。
これからも弊社では、空き家や空き地をただ活用する…ということだけでなく、空間マネジメントつまりは「人が快適に暮らせる街づくり」を通してアイデアとソリューションを提供していきたいと思います。
(了)
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