新空き家活用 空きスペースと地域を結ぶビジネスに

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どうやって空き地を開拓する?オーナーと事業者に寄り添うマネジメント

── 主にどのような場所にある空き地を移動販売車で利用されるのでしょうか。

八田 キッチンカーは、もともと丸の内のビル街でランチ難民救済のために出店したことをきっかけに広まりました。

ですので、基本的には東京都内ですとビル街で営業を行うというベースがあります。

しかし、現在ではテレワークが広がり自宅でお仕事をされている方が多くなっていることから街エリアや、スポーツ施設や健康施設などにある空き地や駐車場などあらゆる場所にキッチンカーの出店が可能となりました。

今注目しているのは、住宅街での需要です。

少しずつではありますが、売り上げが高まってきている状況といえます。

ご自宅でテレワークをされている方の食事は、大事な楽しみのひとつです。

食事の選択肢としては、自炊をするかデリバリーで買うかなどいくつかあると思いますが、その中の一つにキッチンカーでテイクアウトする…という意識が根付いてきているのだと思います。

(写真提供:ユニベルHD)

デリバリーはどうしても料金が高いですし、配達にかかる時間も天候によって左右されることも。雨になると配達員は減りますので、通常は30分で届いていた商品が1時間以上届かないことなどもあります。

そのため、どんな天候でも同じ曜日、同じ場所にやってくるキッチンカーはお客様から好評をいただくようになりました。「家の近くにキッチンカーが来てくれるとありがたいよね」と嬉しい言葉をおっしゃって頂くことも。

コロナ禍で人の働き方や生活が変わりましたからこそ、今後はもっとこうした街中の需要が広がるようにしたいと考えています。

── Mobicookのサイトではどのようにして空き地を開拓していらっしゃいますか。

八田 現在は不動産事業者様(以下、不動産事業者)や、駐車場のプラットフォーマー様と提携をさせて頂き、空き地を開拓しています。

業務提携をする前は、グーグルアースで検索して空き地を見つけた上で交渉に行くこともありました。しかし今は不動産事業者の方から情報を提供して頂くことによって、さまざまな場所をMobicook上に登録をしています。

駐車場についても、東京都内の場合もともとは車を所有していたけど、今は車を処分したがために駐車場のスペースを持て余している…という方も。

たとえそれが空き家に付属した車一台分の駐車場だとしても、そういった場所も出店させて頂く場所となるのです。

それ以外にも、キッチンカー事業者様から「この地域を開拓してほしい」などのリクエストを受けて場所を探す場合もあります。

キッチンカーの運営をする方は、朝早くから荷物の準備をし、昼間に販売、また夜には仕込みをするという生活の繰り返しです。

またキッチンカーに買いに来るリピーターのお客様がなによりも大事ですので、出店する日に穴をあけることができません。

そのような忙しい毎日を送っているため、出店場所探しはできず、そういった事業者の方々としては新しい出店場所探しは外注してでもお願いしたいと思ってらっしゃいます。そうしたリクエストに応えるのが、弊社の大切な役目です。

物件オーナーと直接交渉することもありますが、ほとんどの場合は不動産業者からオーナーへつないで出店場所の提供をして頂きます。

それというのも土地はオーナーにとって大切な資産なため、誰にでも情報を開示ができるわけではありません。土地を担当する不動産事業者に任せることで、資産を管理します。

ですので、オーナーと直接お話をしたとしても、結局は不動産事業者と話し合いこととなり、余計なステップを踏むこととなるのです。

そのため、弊社では不動産事業者と提携し、オーナーへのネゴシエーションをお願いすることで、出店場所利用の契約をしスムーズな出店場所提供が可能としています。

これらのベースがあって、キッチンカーの事業者からのリクエストにも柔軟にお答えすることができるのです。

<次のページ:おカネ以外の空き地誘致のメリットと問題点>

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この記事を書いた人

雑誌編集を経て、現在はフリーの編集ライターに。空き家や外壁塗装など家周りのライティングが得意。「家の間取」を眺めていれば、ごはん三杯までいけます。

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