帰省できたら家族で相談!実家問題と終活はセット、肝となる対処のタイミングは?

60代を過ぎて、ふと頭によぎる『終活』の文字。まだ早いとは思いつつも、今から考えた方がいいのでは…と思うことも。そんな「終活」すべき事柄の中でも、残された家族に大きな迷惑がかかるのが『空き家問題』です。住んでいる人が亡くなってから家の処分を考えたらいいと思い、家の終活時期を逃したことで、財産だったはずの家が管理費や固定資産税ばかりがかかる負の財産になってしまう……。そんな負の財産にしないためにも、終活から考える『空き家問題』について相談時期や税金のことについて詳しくお話します。

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どうして終活で空き家が問題になるのか

終活とはなにをするの?

『終活』とは、人生の終わりのために身の回りの整理をすることをいいます。『終活』の内容は、財産の整理、お葬式についての希望や葬儀費用の準備、連絡先リストの作成、また病気による延命治療や介護への希望などがさまざまです。立つ鳥跡を濁さずという言葉にもあるように、『終活』は人生の最後をプランニングするために、もっとも有効な手段といえます。

終活で空き家が問題になる理由

終活をしていく中で、今住んでいる家をどうするのか…というのが一番困る問題です。家を子どもに譲りたくても、子どもは遠方にすでに家を持っていて、この家に住む予定はない。とはいえ、せっかく自分が建てた家を処分するのは忍びないし…。そうやって悩み決断できないうちに、家が空き家として放置され問題になることも。

家を迷惑な空き家にしないためにも、家を残すのか処分するのかを終活で明確化する必要があるのです。

≪『空き家』という定義への勘違い≫

『空き家』といいますと、多くの人が想像するのはボロボロになった廃屋でしょう。しかし、これ以外にも空き家と呼ばれる家はあります。それは、人が住まなくなって1年以上たった家です。

たった1年で、家は空き家と認定されてしまいます。この『空き家』への認識の違いが、空き家増加に拍車をかけているのです。

多くの人は、誰も住まなくなった家でも月に1回ほど風通しのために通っていれば、空き家になっていないと感じています。でもこれは大きな勘違いで、誰も住まなくなって1年たった家は立派な空き家なのです。

≪今や空き家は飽和状態≫

総務省で発表している「平成30年住宅・土地統計調査」の結果を見ますと、2018年に空き家率は13.6%となっており過去最大の数値となっています。そこからすでに4年たっている今では、更なる空き家率の増加が容易に想定できるのです。

また、令和元年に国土交通省で行われた「空き家所有者実態調査」では、空き家の6割が腐朽・破損のある状態と結果がでました。今や7軒~8軒に1軒が空き家と呼ばれる時代に、本当に家を空き家のまま放置しておいて大丈夫なのでしょうか?

意外と難しい 住まない家の維持

ではなぜ6割もの空き家が腐朽。破損のある状態になるのでしょうか? それは家は人が住まなくなると、急速に傷むからです。人が住んでいないのだし、たまに風通しだけしていおけば家も傷まないと多くの人が思いがちですが、実は人が住まない家は風通しだけで維持はできません。空き家が傷む原因や、空き家が傷まないようにするためにはどうしたらいいのか詳しく説明いたします。

≪人が住まない家は傷みが早い≫

人が住まない家は、換気もされず空気の対流がおこらないことでホコリが積もり、カビが生え、柱や天井、床などが菌に浸食され腐ってしまいます。また、夏などの暑い空気や雨などで家の中に湿気がこもり、湿気は家の床材などをむき出しの木部に水分をふくませ、さらには壁に張ったクロスや家具、畳などにダメージを与えます。

クロスなどがカビによって接着面に浮きが出て壁からはがれ落ちると、さらに露出された壁の素地が傷み家の内部まで浸食し、たった1年で天井のベニヤが落ちてくることも。カビや湿気をこもらないようにする家の換気は、2~3か月に1回1時間ほどおこなっただけでは不十分です。1か月に2回、欲をいえば週に1回ほどの定期的な管理が必要となります。

≪お金がかかる「空き家」の維持≫

空き家が傷まないように維持するためには、上述したように空気の入れ替え、掃除、通水などの管理が必要です。また防犯や火災に対する備えとして火災保険などもいりますし、最低限の管理をするためには水道代、電気代がかかります。

終活の際には空き家の管理をどのようにするのか、管理を任せる人(相続人)と話し合いましょう。また、相続人の管理が難しい場合は管理サービスに依頼するという手もあります。価格は1か月2回の管理で1万円前後のものが多いようです。管理サービスを利用するのであれば、管理サービス費と管理をするための電気水道代、火災保険料が必要と考えましょう。

≪空き家を放置した場合どうなるのか≫

誰も住んでいない家にお金をかけるのは、不毛なことに思えます。では空き家になにも手をかけずに、放置したらどうなるのでしょうか。その場合、家は傷み家屋倒壊の危険性さえも出てきます。放置した庭には雑草が生い茂り、害虫や害獣の繁殖地となることも。また放置した空き家は不法投棄や放火など犯罪の危険性もあがり、地域の防犯性も下げることから自治体によって『特定空家』と認定されます。

『特定空家』と認定されてしまいますと、固定資産税の軽減措置対象から除外されることになるため、固定資産税が約6倍に。また空き家の撤去などの行政執行がなされますと、その費用はすべて空き家の所有者から徴収されます。空き家を放置することは、最初は費用をかけずに済む期間もありますが最終的には大きな代償を払うことになるのです。

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<次ページ:終活の考え方、話し合い方>

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この記事を書いた人

雑誌編集を経て、現在はフリーの編集ライターに。空き家や外壁塗装など家周りのライティングが得意。「家の間取」を眺めていれば、ごはん三杯までいけます。

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