一番良い不動産整理は売却?!
ご自身の意思通りに不動産を整理する2つ目の方法として「売却」があります。売却の場合、不動産という形ではなく財産として資産を残すことができますので、不動産とは異なり遺産分割でトラブルが起きにくいのはメリットになります。
ただし、不動産の売却は一定の期間がかかり、地域によっては需要がないまたは低い場合も。ここでは、売却を選択する場合に留意すべき点をまとめました。
売却と買取の違い
不動産の売却には主に「売却」と「買取」の2種類があります。
<売却>
不動産の仲介を経て、個人の買主を探して売却する方法。期間と仲介手数料がかかり、地域の需要によっては買い手がつかないこともあります。ご自身の納得いく価格で売却をしたい時にお勧めの方法です。
<買取>
リノベーションなどを得意とする不動産会社に対して売却。買い取った不動産会社はリノベーションなどを施して、自社で売却や賃貸を行う方法。不動産会社が買主になるので、売却で買い手がつかない物件でも買い取ってもらえるという利点があります。また、通常の売却と異なり、売却期間を短く済ませたい。早く資金に替えたい場合もメリットになります。
ただし、リノベーションありきでの買取になるので、買取額は売却よりも低額になります。
希望額で売れない!価格で悩んだら考えるポイント
日本では中古市場の流通が海外に比べて非常に低いです。コロナ禍で、中古市場の取引が活発になっては来ていますが、地域・築年数によっては価格に納得がいかないこともしばしば。
そんな時は、「固定資産税(年額)×今後所有する年数」を計算してみましょう。
<固定資産税のしくみ>
出典:総務省ウェブサイト「自治税務局固定資産税課|固定資産税制度について」
上図の式から固定資産税の年額が分かるので、それに基づいて空き家として所有し続ける年数を乗じた金額を割り出すことができます。あなたや相続したご家族が支払う固定費・管理費を算出した上で、売却額を検討することが重要です。
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取り壊し前に撤去費用と管理費用について
3つ目の方法が「取り壊し」です。取り壊しは不動産という分けられないものから土地にすることで、売却や土地を有効活用した収益化に適しているといえます。しかし、一度取り壊してしまえばもう二度と同じものを建てることはできません。相続した物件でも、ご自身で建てた物件であっても大きな決断になるでしょう。
ここでは、取り壊しを選択する前に取り壊しに向いている条件と撤去にかかるおおまかな費用をご紹介します。
解体を選択する不動産の条件とは?
- 売却、賃貸の需要がない地域に立地している
- リノベーション費用がかさむ
- 築年数が35年以上 ※1
- 1981年以前の建物 ※2
- 更地にした場合、売却や土地活用の見込みがある
※1 築年数と共に価格が右肩下がりになり、31年を目途に横ばいになる。築100年近くになると、名工の技術によって残存できる場合もある
※2 建築基準法が改正された年。耐震基準に見合っていない場合の基礎に関わる工事費用は大きな負担になる
解体にかかる費用相場は?
造り | 単価/坪 |
木造 | 40,000 |
鉄骨造 | 60,000 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 70,000 |
浄化槽の除去 | 一個あたり50~80万円 |
延べ床面積が平均35坪程度なので、木造でも140万円、鉄筋コンクリート造の場合は250万円程度かかります。さらに、道路との高低差が大きい場合や、狭い路地で重機が入れない場合等、人手がかかる場合は追加費用が発生します。解体する理由にもよりますが、個人にはかなりの負担です。ただし、一部の自治体では解体・除却について費用の助成を受けられる場合があります。
ご自身の所有する空き家が該当するかをお知りになりたい方は以下を参照ください↓
参照:「空き家解体・除去費に対する国土交通省の対応は?|アキカツマガジン
費用は大きいものの、解体にかかる期間はおおむね「約1カ月」とそう長くはかかりません。ただし、撤去後の廃材処理など別途費用がかかる場合があります。
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