「リノベすると決めたら周りの環境も動き出しました。」実家の空き家に住むことを決めた西村さんご夫妻の事例

思い入れのあるご実家の場合、どうにか残して活用をしたいと思ってはいても具体的な費用や方法を調べるだけで途方に暮れてしまうということも・・・。

今回はそんなお悩みをお持ちの方にとって力強い先輩となる、西村聡子さんご夫妻に取材させて頂きました。

西村さんご夫妻は相続されたご実家を、「業者」と「ご家族によるセルフリノベーション」を組み合わせて施工し、素敵な暮らしをされています。

これから空き家の所有者になる方にも、相続した空き家をどうしていくか悩まれている方にも大変参考になるお話を伺えました。

* * *

今回お話を伺ったのは・・・

西村聡子さん
福岡県直方市で生まれ、三姉妹の末っ子として育つ。結婚後は夫の実家があった関西へ移住するも2001年に九州へUターン。2015年6月に当時築35年、両親が建てた家をリノベーションする。イラストレーターとして活躍しながら、Facebookでリノベーションの様子を投稿。

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──空き家になった当時の状況を教えてください

2014年に両親が相次いで亡くなりました。そのおよそ2年前に入院や施設入所で誰も住んでいない状態で、姉妹で管理をしていました。その後、私たちが引っ越してきたのが2015年なので、合計3年間空き家になっていました。

 姉達はそれぞれ結婚して持ち家があったことと、両親が亡くなった時には私達は借家住まいで家族も多かったので、この家を引き継ぐことになりました。

 元々実家から10分圏内のすぐ近くに住んでいたので、子どもの校区も変わりませんでした。4人子どもがいるんですけど、引っ越しの時点で一番上はもう家を出て一人暮らしをしていて、一番下が小学校高学年くらいでしたね。

 しかし、大きな家だった上に浸水しやすい土地だったので、皆でかなり悩みましたね。売却も含めて半年くらい検討しました。

──なぜリノベーションして活用しようと思われたのですか?

いつかは落ち着いた所に住みたい気持ちがあって。当時も中古でリノベーションができるような物件を見ていました。

 それに元々、セルフリノベーションには興味があったのもあります。そんなに資金もないので、お金をかけずに自分達でやってみたいと思っていました。

お子さんも一緒になってお手伝い

──建築士のご友人に相談したことでどんなことがわかりましたか?

予算内でどこまでできるのかというのは、私たちでは把握しづらいですよね。

工事を進めていく途中で「予算はここまでだから、この作業は西村さんたちでやってもらわないといけないな」という事があって、自分達でやるところは結局増えました。

私たちが「自分達でできるところはやる人だ」って分かってもらえていたので道具を借りながら進めていきました。

リビングのタイルも別にタイルじゃなくても良かったんですけど、自分達がこだわったところは自分達でやりました。

他に、「自分達でできそうなところはどこですか?」と聞いたりもしました。その会話のなかで壁を珪藻土にしたいことを話すと、「それは家族でやったほうがいいよ」と提案してくれましたね。

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ご友人と一緒に珪藻土を塗りました
明るい壁に!

──引越し後、お仕事は変わられましたか?

(ご主人)変わってないです。

(聡子さん)私は元々イラストレーターをやっているのですが、平日障がい者施設でのパートが増えました。

ほのぼの優しい西村さんのイラスト

──リノベーションの中で特に大変だったことはなんですか?

いっぱいあるんですけど、1つは親の残した荷物の片付けですね。家ごとですから。まず全部外に出して、何度も廃棄のために運んだのは労力が物凄くかかりました。業者を頼まずにすべて自分達で行ったので。

もう1つは資金面です。リノベーション代が結構かかったのでライフプランニングというか、どこまで借りていつまでにどれだけ返して、という資金繰りが大変でした。加えて、登記や相続に関わる費用が想像以上でした。

──自治体から受けることができた助成金はありましたか?

簡単に調べてみたし、建築士さんにも相談したんですけど空き家対策に対しての助成金はありませんでした。

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この記事を書いた人

リラクセーションサロン・大手コンビニ・福祉業界と異色の経歴を持っています。今は田舎に戸建てを借りて都内と二拠点生活するフリーライターです。

次世代が活躍できる舞台づくりをフィールドワークにしています。

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