移住者へ集中、徹底的な施策。「移住したい街」づくりが生み出した空き家活用とは<後編>

<その他の支援制度>

市内で創業する方を対象。事業所の開設に要する工事費や設備購入費、広告宣伝費等の支援

豊岡市で創業をされる方を対象に行っている支援です。豊岡市では内発型産業育成のためにビジネス相談の窓口『IPPO TOYOOKA』をコワーキングスペースFLAP TOYOOKA内に開設しています。

経営相談員を配置し、移住者の方だけでなく豊岡市内で事業の新展開をお考えの方やこれから起業、創業をお考えの方は無料で相談できるなど、手厚く、しっかりとサポートいたします。

こちらの支援制度を利用して、空き家を活用したゲストハウスが3軒ほどできました。創業者を増やすことが、空き家活用にもつながっている一例と言えるのでは無いかと思います。

IT関連の事業所を新たに開設する事業者の開設・運営費の支援

こちらの支援は兵庫県の支援制度となりますが、県と市が協力して補助金等を出すことによって、充実した支援となっています。

詳しくは兵庫県のホームページをご覧ください。

就農支援

これから農業をやろうと考える若者を対象に「豊岡農業スクール」という制度を設けています。農業未経験の方でも安心して始めることが可能です。

月10万円の給付金を市から支給して、週40時間(1日8時間×5日)は親方農家のところで修行して頂きます。

この制度も9年間やっているのですが、1年で2~3人くらいずつが制度を利用しており、19名が卒業し、一人前の農家として活躍しています。その他にも若手農家18名がおられ、スクール卒業生と合わせると37名の担い手農家が活躍しています。

さらに、市外から来る方で、農業をやりたいと思う方もいるのではないかと思い、地域おこし協力隊という制度を活用して移住してきた4名の方もいます。

豊岡市では、このように若手農家が多く、様々な新しいアイディアやおもしろい取り組みが生まれています。その中の1つの事例として、新たな特産品、ブランド化を目指して太いネギを作っているグループもあります。その名も『ネギマッチョ』

本当に見たこと無いほど太いネギなのですが、少し細いバージョンは規格外品として地元で売り、本来のネギマッチョは全国に出荷する予定で進めています。

子育て支援

子育て支援も、児童手当や医療費助成、幼児教育・保育の無償化など、さまざまな支援をおこなっています。

※ここまでお話しました支援制度について詳しくはこちらをご覧ください。

──『飛んでるローカル豊岡』の『住まいの情報』に、空き家を「借りる」という選択肢がありました。

空き家移住を考える人にとって非常に移住がしやすくなる、ハードルを下げる選択肢だと感じましたが現状はどうでしょうか。

「住まいの情報」(同サイトより)

はい。まさにそのとおりです。移住希望者の多くは、地方での暮らしに一軒家で広々した生活というのをイメージされていますので、今サイト内で賃貸物件を増やそうと努力しています。

空き家改修支援

この支援の場合、借り主の方が改修工事をされます。

賃貸する場合にも前述した空き家改修補助金が利用できますので、物件の所有者ではなく借りる方がお金を出して物件の水回りなどを補修します。

賃貸物件は、通常の6~7万円の賃貸契約でも初期費用が30万円ほどかかると思うのですが、この補助金を利用すれば工事費用が130万円のうち100万円は補助が出ますので、実質不動産契約する際にかかる初期費用とほぼ同額の30万円ほどのお金で、家の補修工事ができるのです。

市として高い補助金設定をしたことで、これからも改修して改善された空き家が増えていき空き家の活用が促進されているのではないかと思います。

片付け支援

そんな中、賃貸物件を探している際に新たな空き家の問題点も見えてきました。

それは、いざ賃貸物件に良さそうな空き家を見つけても、家の中に荷物がいっぱいですぐに人に貸せる状態ではないということです。

そこで豊岡市では、そうした私物を片付けるための市が定額で10万円まで負担しますという補助金なども用意しています。

まだこの補助金は浸透していないため、利用していただいた空き家のオーナーさんはお一人だけなのですが……。補助金を利用して家財道具を片付けた2週間後に、賃貸の契約が決まりました!

是非今後は、この補助金利用についても浸透して空き家の賃貸が活性化してくれればと思います。

次のページへ:官民一体で空き家の活性化へ

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この記事を書いた人

雑誌編集を経て、現在はフリーの編集ライターに。空き家や外壁塗装など家周りのライティングが得意。「家の間取」を眺めていれば、ごはん三杯までいけます。

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