そこまでやる?!空き家活用だけでない、成田発の地域まるごと再生プロジェクト!

千葉県成田市。かつては全国・全世界からの参列者が後を絶たなかった成田山新勝寺を抱える町に、成田エコハウス株式会社はあります。

賑わいのあった街並みも、今では人もまばら。パンデミックという一時的な理由ではなく、地域を支えていた人々は年齢を重ね、若者は町を出て仕事で都会へ。そんな、どこの地域でも起こりうる状況に、成田エコハウス株式会社はどう立ち向かい、町の発展に貢献する事業の展開に至ったのでしょう。

今回、地域に根差し4つのグループ企業を経営する成田エコハウス株式会社代表取締役稲村様と社員の藤野さんに取材をさせて頂きました。

事業のきっかけから、社長の熱い想いまで、”こんなところまで話していいの?”という内容を教えて頂いております。

空き家の所有者の方はもちろんのこと、活用したい起業家様、いずれはやってくる相続の問題で悩まれている方や自治体の責任者様にも、大変参考になる記事になっております。

今回の取材先プロフィール:
成田エコハウス株式会社
京成本線「公津の杜」駅から徒歩10分。公津の杜駅から歩いて10分、静かな住宅街の一角に成田エコハウス株式会社はあります。最初は建物のオーナー様から「買い上げて欲しい」の一言から始まり、今では地域一体の空き家を再生してシェアハウス、浪漫工房、レンタルスペースなど、数々の事業を展開されています。
今回お話を伺った稲村代表取締役社長(冒頭写真右から2人目)と、藤野さん(同右)。オンライン取材でもお人柄の良さと情熱が伝わる素晴らしい方です。
会社HP: https://www.n-ecohouse.co.jp/

目次

飲食・シェアハウス・老人ホーム・・・
多種多様な空き家活用を実践!

ーいくつか事業展開をされているようですが、成田エコハウス株式会社様の事業体制を教えて下さい。

うちの会社は4社から成り立っておりまして、中心で動いているのが成田エコハウスです。これまでは8~9割方、新築の建築をやっていたのですが、これからはそれ以外にも今ある建物をどううまく利用していこうかという事に力を入れていこうという事になりました。

4社のうちの1つ、ワールドホーム(株)がシェアハウスの運営をしております。現在約90室ありまして、シェアハウスのための物件を借り上げるところから、空き家の情報が入ってくるようになりました。

そこから、後に空き家を活用していくという方向へシフトしていきました。グループ会社に公津の杜ハウジング(有)という不動産部がありますので、空き家の活用方法についてもお客様からヒアリングした内容によっては売買や賃貸といったご提案もできるのがうちの強みだと思います。

ーなりた空き家再生ワークスとしてプロジェクトを立ち上げられたきっかけや思いはどのようなものですか?

成田は空き家が凄く多くてですね。参道の表通りは賑やかで空き家もほとんどないが、一歩入ると駄菓子屋さんだったところが空き家になってしまったり、シャッターになっているところが多い。

いい雰囲気を醸し出しているのにうまく活用する方法がないのかな?と店舗の方々と色々話すんですけど、所有者が高齢化していて老人ホームに入所などで話が一向に進まないんです。成田山の参道は、新勝寺から土地を借りて、そこに家を建てているところが多いんですよね。

シェアハウスを通じて空き家の情報が入っていましたが、空き家の情報を1度にまとめているようなところがなかった。そこで、成田空き家バンクを立ち上げて情報を集めることからに始めました。

プロジェクト名に「なりた」とつける以上はと、成田市にも事前に相談したんですよね。「空き家バンクを自治体で立ち上げるつもりはないですか」と聞いたら「無い」との返事。市がやらないのなら、自分たちでやるしかないということで、「成田空き家バンク」をNPO法人で始めたのがきっかけです。

空き家を何とかしたいという方に向けた窓口は、全国にあると思うんですよ。
ですが、私達は相談を受けてアイデアを出して施工もして。カフェだったりシェアハウスだったり、運営管理もやりますよと。

ここまで、トータルシステムとしてやっているところは他にないと思うんです。例えば、何年か預かって綺麗にリノベーションして、カフェの運営をやって認知度もある程度上がった段階で、オーナー様が自分達でやりたいという事も可能ですから。
ゼロからのスタートは大変じゃないですか。なので、うちではそこまでやっています。資産価値も上がりますしね。

更地にしたり、新築にしたほうが提案としては楽ですし利益も出るのかもしれませんが、そうではなく地域貢献という使命感でやっています。

ー成田浪漫工房は店舗として、浪漫館は古アパートをレンタルスペースにされてますよね。

古民家ダイニングなども入っている浪漫工房

 先ほどから成田山の話が出ていますが、成田山も高齢化とともに来られる人数が減少しています。本来はにぎやかで全国や海外の方の人気もあって、年間何百万人と訪れていました。

参道のお店の方々にお伺いしても来客数が減ったのと、購入単価も下がったり、売れる商品の種類が大きく変わるなどで売上が落ちていると。観光地なので、地域を盛り上げて活性化できるようなことを何か出来ないかと考えました。

沖縄には陶芸教室であったり、ガラス細工であったり、色んな体験ができるものがあるじゃないですか。成田には体験で自分で作ってもらえるようなところは1つもないんですよ。既製品の販売だけになっている現状がありますので。

モノはもうみんな持ってるじゃないですか。だったら、世界に1つだけのもの、自分のものを作れるところが必要だな、ここの場所にそれができないかなと思ったのがきっかけです。

レンタルスペース浪漫館(奥の建物)の横には、屋外スペースも

浪漫館の方も本当は上に2室、下に2室で賃貸に出す予定だったのですが、地域の人に認知してもらうには人の出入りを増やさないといけないから、下は開放しようと思いレンタルスペースにしました。

ー御社のサービスを利用された所有者の方や利用者からの声を教えて下さい

ここのアパートの2階に住んでいらっしゃるのはトルコとフランス人の方なんです。元々は都内に住んでいらして、ここの住宅情報を公開したらすぐにご連絡が来ました。やり取りは少しあったものの即決だったんですね。「ここ成田に住みたい」と。

もしかしたら日本人の方だと、ここ(柱)が気になる、ここが古くて嫌だとかあったかもしれないですけど、海外の方にとってはそれが日本の味・魅力になっているんですね。「こんなところはまずない。」と。この壁も素敵、柱も素敵といって、魅力として捉えてくれています。今は東京に住んでいるけどNYのような町並みで日本らしさを感じられないから、成田が一番好きといって入居してくれました。

所有者さんのケースだと自分達が住んできて想い出のある家を自分たちの代で壊すという事はできない。手放すにしても、持ちながら活用してもらうにしても、何かの形で使ってもらえたら資産価値も上がるし家の維持年数も増える。

売るか思いっきりリノベーションをするか、更地にするしかないという選択肢しかなかった人たちに対して、私達は色んなパターンをご提案できるんですね。なので、ご自身の家を「売る・売らない」を決断をするまでの例えば5年間だけを、こういった形で手を加えていくということで維持していくこともできますよと。

<次ページ:空き家活用事業を展開するワケ・・・パッションあふれる社長の想いとは>

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この記事を書いた人

リラクセーションサロン・大手コンビニ・福祉業界と異色の経歴を持っています。今は田舎に戸建てを借りて都内と二拠点生活するフリーライターです。

次世代が活躍できる舞台づくりをフィールドワークにしています。

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