年々増加する空き家。2018年には約849万戸を超え3年間で3.6%増の13.6%と過去最高を記録(総務省統計局が5年ごとに実施している住宅・土地統計調査」より)しました。2033年には2,000万戸を超えるとの予測が出ています。
総務省「平成30年住宅・土地統計調査」
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf
このような情勢の中で戸建てだけではなく、相続した「地方の中古マンション」の空き家も増え続けています。
都市部、特に都内では政策の影響もあり、今中古マンション市場が賑わいを見せていますが、地方では建物の老朽化に加え、空室が増加。相続したはいいものの、どう管理していけば分からず放置している・・・なんてことも。
しかし、放置することはデメリット以外のなにものでもありません。この記事では、そんな「地方の中古マンション」が抱える問題点や活用方法まで徹底解説していきます。
空き家を放置することのデメリット
中古マンションやアパートを相続したものの、管理方法や相談先が分からず放置をしているとデメリットしか生まれません。ここでは、都市・地方に関わらず中古マンションやアパートの空き家を放置することで起こる問題を解説していきます。
建物の老朽化
建物には「耐用年数」があります。これは、文字通り「どれだけ耐えうるか」を意味する言葉ですが、住宅に限って専門的にみると3種類の耐用年数があります。
- ①法定耐用年数
- ②物理的耐用年数
- ③経済的耐用年数
「法定耐用年数」とは、モノの減価償却率を計算し適切に税金を納めるため、国税庁が定めた年数のことです。
住宅の法定耐用年数は、構造と用途によって以下のようになっています。
- 木造(Wood=W造)・・・22年
- 鉄骨造(Steel=S造)・・・34年
- 鉄筋コンクリート造(Reinforced Concrete=RC造)・・・47年
- 鉄筋鉄骨コンクリート造(Steel Reinforced Concrete=SRC造)・・・47年
- ※用途はすべて住宅用です。
詳しくお知りになりたい方は、国税庁のリンクをご覧ください。
不動産サイトや不動産情報の「構造欄」で、W造やRC造等との記載はこのことです。先に触れた通りあくまで税金の計算に使われる年数なので、実際の住宅の耐用年数を意味するわけではありません。
しかし、不動産は特に大きな金額が動くので、その評価に公平を期するためにこの法定耐用年数が基準として用いられる場合が多いのも事実です。ご自身の中古マンションやアパートの構造欄は是非調べておきましょう!
特定空き家に指定されると固定資産税が6倍に? !
「物理的耐用年数」とは、住宅の物理的な耐用年数のことです。ただし、専門家であっても厳密に計算することは難しいです。それは同じ構造でもメンテナンスによって大きく差が出るからです。
住宅は築年数は勿論ですが、人が住まないと老朽化の進行が激しくなります。特に大きな要素が「換気」です。換気をしない状態で半年も経過すると、そのままではご自身が住むことも貸すこともできないほど劣化します。
また、新建築基準法に適合していない場合は、耐震のための補強工事が必要になります。工事費用は修繕積立金から出されることになりますので、特に1981年以前の建物は特に注意が必要です。
さらに、空き家対策特別措置法に基づく「特定空き家」に指定されたら大変!固定資産税の優遇(1/6)が外されてしまうので、実質更地と同じ6倍になってしまうリスクがあります。
詳しくお知りになりたい方は、以下をご参照ください。
都内駅前の空き家の不動産的価値は?売却の前に知るべき活用方法|アキカツマガジン
資産価値の低下
「経済的耐用年数」とは、その物件の資産的価値のことです。都内や都市近郊の好立地ではない限り、基本的に築年数とともに資産価値は低下していきます。20年ほどで下げ止まるという記事も目にしますが、地方で高齢化の進む地域などは特に30年ほどまで下がり続けます。
概ね31年で横ばいとなりますが、法定耐用年数と合わせて考えてみてもW造・S造の中古マンションやアパートは、築年数によっては売却すら検討できなくなるという厳しい現実があります。資産価値が決まる詳しい条件をお知りになりたい方は以下を参照ください。
中古マンションの空き家が増加!都内の中古マンションを放置することの問題点と対処法|アキカツマガジン