相続予定の空き家から破産時所有の空き家まで 売れない空き家の対処方法

空き家について一番困ること。それは、空き家が売れずに処分できないことです。

家というのは簡単に捨てるということはできず、次の所有者に譲るまでは現状の所有者にすべての責任がのしかかってきます。

空き家は管理しても管理費、火災保険、水道光熱費などお金がかかりますし、放置しても特定空家と認定されれば固定資産税などが6倍となってしまい、活用が出来なければ負の財産となるのです。

そんな売れない空き家の処分だけでなく、相続や破産した際の空き家処分も踏まえてご紹介します。

目次

いらない空き家を手放すために

不動産会社へ査定・売却仲介を依頼

空き家を処分する場合、まずは不動産会社に査定依頼をします。

査定はどの不動産会社も無料で行ってくれますので、何社かに依頼をしてみてください。

まずは『簡易査定』をしてもらい査定額の相場が分かったら、その後査定額に納得のいった不動産会社に『訪問査定』を依頼します。

『訪問査定』の査定額に納得がいくようであれば、不動産会社に専任媒介で売却仲介を依頼しましょう。(専任媒介については「意外な盲点 お隣への土地売却」にて後述します)

≪コロナ禍による地方移住者への売却≫

少し前までは、空き家の購入者というと近隣の住民か、田舎暮らしの希望者などが代表的でしたが、最近ではコロナ禍によりテレワークが増え会社への出社する人が減ったことで、住居を都心にこだわる理由がなくなり、地方への移住者が増加しています。

それに伴い、空き家の買い手として移住者が増えているのです。

また自治体によっては、移住者の空き家利用への支援が行われている場合もありますので、一度自治体に問い合わせを。

移住者が多い地域であれば、移住者への売却を視野にいれてネット環境を整えるなどのリフォームを検討してみると良いでしょう。

≪意外な盲点 お隣への土地売却≫

空き家売却の際に、意外な盲点なのがお隣への売却です。

立地としてはあまり良くない土地だとしても、お隣へ声がけをすると売却できる場合があります。

実際私の知り合いも、お隣からの声がけで隣の土地を買い、庭の畑を広げていました。

また、不動産会社へ売却仲介を頼む際には「専任媒介で」と上述しましたが、理由があります。

それは、専任媒介の場合は自己発見取引が可能なため、お隣への声がけを空き家の持ち主ができますが、専属専任媒介になってしまいますと自己発見取引は禁止のため、お隣への声ができないのです。

自由に自分で買い手を探す権利を残すためにも、不動産会社との仲介契約は専任媒介をおすすめいたします。

売却できない空き家の対処とは

更地にして売却してみる

次に売却できない空き家について考えてみましょう。

ここでいう売却できない空き家というのは、低廉な空き家です。

売却するにも400万円以下と価値が低く、不動産会社から売却仲介を断られた空き家を指します。

そうした家屋の価値が低い場合、空き家を取り壊して更地にすることで売却できる場合も。

ただし更地にするには、家の解体費用や家具などの処分費用などがかかります。

 詳しい処分費用については、こちらの記事をご覧ください。

参照:売れない空き家、売れる空き家 処分する費用はいくらかかるのか? | アキカツマガジン

【注意したい固定資産税】

空き家を更地にする際に、気をつけたいのは固定資産税についてです。

固定資産税は、小規模住宅用地の減額の特例があります。住戸一戸につき200㎡までの部分は、固定資産税が課税標準の6分の1に。

これはあくまでも、土地の上に住戸がある場合に受けられる特例のため、更地にしてしまうと固定資産税の特例がなくなってしまうのです。

また、固定資産税の算出は1月1日の時点でその土地に空き家があれば、その年の固定資産税は建物がある場合と同じく特例を利用することができます。

更地にする場合は、建物有りで売却する場合と更地にする場合とどちらに利益があるかなど、空き家の管理費や建物の処分にかかる費用などを算出してから比べたうえで考えると良いでしょう。

【太陽光パネルを設置して土地を活用】

売れない空き家を解体して更地にした場合、太陽光パネルを設置することで売れない土地を活用することができます。

空き家のある土地が、日照条件が良い土地であれば、太陽光発電システムの設置を検討してみましょう。

メーカーや製品によって、価格や発電量はさまざまです。設置を考える際には、詳細なシミュレーションをしましょう。

 空き家バンクなどを使う

一般の不動産会社で空き家の売却が難しい場合、自治体が行っている空き家バンクに登録をして売却することも可能です。

その他にも、民間会社が主催している「家いちば」「空き家ゲートウェイ」などもあります。

ただしこの場合、売却についての取り引きは個人間で行わなければなりません。

不動産会社などが仲介として入らないため、トラブルが起きやすいのも現状です。

自治体や企業に寄付

売れない空き家の場合、価格がつかないのであればせめて寄付ができないかと多くの人が考えます。

しかし、寄付は自治体などがその土地を欲していない限りまず不可能です。

青森の祖母宅で、200㎡の土地建物があったのですが、解体費用と家具などの処分費用で約1000万円の見積もりが出たため、市に寄付ができないかと相談したところ断られました。

固定資産税は地方税ですので、自治体にしてみれば大事な収入源といえます。

その収入源を、必要もないのに無料で引き受けるということはありえないのです。

もちろん自治体が道路を広げるなどの目的で、土地を欲している場合には寄付も可能ですので、まずは自治体に問い合わせてみるといいでしょう。

空き家を贈与、譲渡する

【空き家にかかる贈与税とは】

空き家の無償譲渡で受けた場合、贈与税がかかります。贈与税の基礎控除額は110万円ですので、1年間にもらった財産の合計が110万円を超えた分にかかると考えるとよいでしょう。

また空き家の贈与を受けた場合、たとえ空き家であっても不動産を取得したことになりますので、不動産取得税もかかります。

【空き家にかかる譲渡税とは】

相続によって空き家となった不動産を、相続人が売却する場合、適用要件を満たせば「譲渡所得3000万円特別控除」を受けることが出来ます。

この特別控除には適応期間があり、相続日から起算して3年を経過する年の12月31日までの売却した場合となっていますので注意が必要です。

空き家を相続したら、できるだけ早く売却すると良いでしょう。

また、この特別控除は親が病院に入院したり、老人ホームに入居したりして無人となった空き家を売却する場合にも利用が可能です。

【みなし譲渡課税に注意】

譲渡する際に気をつけたいことのひとつに、「みなし譲渡所得税」があります。

個人から法人へ空き家の譲渡を行う際に、たとえそれが無料で行われたとしても「みなし譲渡所得税」が課せられるのです。

不動産は所有者が無料で譲渡相手に引き渡したいと思っても、不動産の時価で譲渡したものとみなされます。法人に譲渡する際には、注意しましょう。

<次ページ:相続した空き家が売れないと分かったら>

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この記事を書いた人

雑誌編集を経て、現在はフリーの編集ライターに。空き家や外壁塗装など家周りのライティングが得意。「家の間取」を眺めていれば、ごはん三杯までいけます。

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