移住者へ集中、徹底的な施策。「移住したい街」づくりが生み出した空き家活用とは<前編>

さらに近年では、『深さを持った演劇のまちづくり』も行っています。

2014年、アーティスト・イン・レジデンスの拠点として、城崎国際アートセンターという施設を整備しました。アーティストが施設に滞在しながら創作活動を行い、さらに、地域の方々が多様な芸術活動に触れられるように、交流プログラムとして試演会やワークショップ等も行っています。

また、まちづくりと連動した取り組みとして毎年9月に豊岡演劇祭を開催(※編集部注:2021年度は緊急事態宣言を受け中止)しており、全国からアーティストや演劇ファンが訪れています。

他にも演劇と関連して、演劇と観光が学べる国内初の公立大学として『芸術文化観光専門職大学』が2021年4月に開学し、さまざまなチャレンジを行っています。

──豊岡市では空き家の対策を行っていますか?

実は豊岡市では、特に『空き家対策』担当といった部署はありません。

移住促進を行う上で、必然的に空き家を活用するようになったというのが豊岡市の空き家対策なのかもしれません。

私が所属している『豊岡市環境経済部  環境経済課 定住促進係』では、空き家活用という観点であくまでも移住者にターゲット絞って対応しています。

ですので、豊岡市には他の自治体で一般的にある『空き家バンク』というものもありません。

『飛んでるローカル豊岡』という市のポータルサイト内に、不動産情報の掲載がありますが、宅建業協会但馬支部と連携した取り組みです。宅建業協会に所属する、信頼のおける市内の業者さんにお任せすることで、市として『空き家バンク』のように手をかけなくとも、不動産情報サイトの掲載や運営がなされていきます。

──空き家対策を行っている多くの自治体は、人手不足・空き家の解決方法・予算などに悩まれているところもあります。

──豊岡市ではいかがでしょうか。

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自然の中でパラグライダーもできる(写真提供:豊岡市)

豊岡市でも同じです。これはどの自治体も同じ状況で、空き家対策という課題に対して人手や予算は十分にあるとは言えないと思います。

ただ、ターゲットを移住者に絞るなど取り組み方次第では、空き家対策につなげることができます。

豊岡市では、先ほども空き家バンクは無いとお話ししましたが、理由があります。

通常空き家の不動産売買では、手数料が少なく、業者としては手間ばかりがかかります。

しかし、豊岡市の場合はサイトに掲載している不動産物件を購入もしくは賃借した場合、補助金の対象となります。

移住者が空き家を活用し、補助金を活用して改修を行うことで、仲介手数料の他に改修工事の仕事が入り、工事業者の売上に繋がります。

そのため、『飛んでるローカル豊岡』のサイトに掲載される『住まいの情報』を取り扱っている業者の中には、宅建業の免許を持っている工務店業者も含まれています。

空き家を売買する際には、必ず改修工事が必要です。

工務店は不動産の仲介手数料と改修工事と両方から報酬を頂くことができますので、積極的に空き家の売買などに取り組み、延いては空き家が活用されることになります。

これまで空き家を利用して移住してきた方は、過去5年間で60世帯123人となっています。2020年度だけで23世帯40人が空き家を活用して移住されました。


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出石の城下町(写真提供:豊岡市)

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