あなたの所有している空き家は、日本のどこにありますか?
2018年に総務省統計局から発表された「住宅・土地統計調査」では、全国の空き家率が明らかになりました。そのデータをもとに空き家率、空き家数をランキング化すると、そこには驚きの事実が……。
47都道府県の空き家率と空き家数のランキングを通して、空き家の問題と解決方法を探ります。
空き家とはどのような状態をいうのか
あなたの所有しているその家、空き家ですよ
ランキングを見る前に、まずは空き家についてご説明します。
空き家……というと、あなたはどのような家を想像しますか?
何年も人の出入りもなく居住者もいない、家はボロボロで庭には雑草が生い茂っている。そしてなぜか窓ガラスが割れている。
そんな家でしょうか。
実は、国土交通省では1年以上人が住んでいない、使われていない家を「空き家」と定義しています。
「いえいえ、うちはたまに風通しに行っているし、物置代わりに使っているんだから空き家ではないでしょ」と思っている人の家も、管理の仕方次第ではありますが、空き家と認定されてしまうことも。
空き家を使う…というのは、店舗などの施設としてや倉庫など定期的な使用を指し示すのであって、「たまに使う物置」ではないのです。
空き家の認識に意外な落とし穴
また、ここ最近空き家になる理由として増えているは、長期入院による空き家化です。
居住者の高齢化などにより、ちょっとだけ入院のつもりが長期入院となり、あっという間に1年が経ってしまいます。
居住者の家族も、入院にばかり気を取られ家を放置しがちです。こうした放置によって、家は空き家となります。
さらに、介護療養型医療施設などに入居する場合も、「たまには一時退院をして、自宅でのんびりしたい」と思い、家をそのままにしたものの結局なかなか帰宅することができず、空き家化する場合も。
家は、思ったより簡単にふとしたことで空き家化するのです。
空き家問題とは何か
空き家があるとなぜ困るのか
空き家は、その存在が問題になるのではありません。
空き家が放置されることによって、問題が起こるのです。
家というのは、使用されないことで空気の流動がなくなり、カビや湿気が蔓延し傷み、最悪の場合は建物が崩れていきます。また、手入れされない庭などは雑草が生い茂ることで害虫や害獣の繁殖地となり、近所へ多大な迷惑をかけるのです。
さらに、無人の家は犯罪や放火などのリスクも高まるため、たかだか空き家1軒のことでも、その地域の防犯性まで下げる可能性が出てきます。
そのため、国土交通省はこうした倒壊の恐れや地域の景観上問題のある家を、「特定空家」として取り締まることができる法を定めているのです。
全国の空き家率、空き家数ランキング
ランキングからみる空き家の現状
空き家の定義が分かった上で、全国の空き家ランキングを見てみましょう。
空き家率と空き家数ではランキングは大きく入れ替わります。このデータは2018年に総務省統計局から発表された「住宅・土地統計調査」を元にして算出しました。
“全国47都道府県 空き家率ランキング”
2018年時点
1位 山梨県 21.3%
2位 和歌山県 20.3%
3位 長野県 19.5%
4位 徳島県 19.4%
5位 高知県 18.9%
6位 鹿児島県 18.9%
7位 愛媛県 18.1%
8位 香川県 18.0%
9位 山口県 17.6%
10位 栃木県 17.4%
11位 大分県 16.7%
12位 群馬県 16.6%
13位 静岡県 16.4%
14位 岩手県 16.1%
15位 岐阜県 15.6%
16位 岡山県 15.5%
17位 宮崎県 15.3%
18位 鳥取県 15.3%
19位 島根県 15.2%
20位 三重県 15.2%
21位 大阪府 15.2%
22位 広島県 15.1%
23位 長崎県 15.1%
24位 青森県 14.8%
25位 茨城県 14.7%
26位 新潟県 14.7%
27位 石川県 14.5%
28位 佐賀県 14.3%
29位 福島県 14.3%
30位 奈良県 13.9%
31位 福井県 13.8%
32位 熊本県 13.6%
33位 秋田県 13.5%
34位 北海道 13.4%
35位 兵庫県 13.4%
36位 富山県 13.2%
37位 滋賀県 13.0%
38位 京都府 12.8%
39位 福岡県 12.7%
40位 千葉県 12.6%
41位 山形県 12.0%
42位 宮城県 11.9%
43位 愛知県 11.2%
44位 神奈川県 10.7%
45位 東京都 10.6%
46位 沖縄県 10.2%
47位 埼玉県 10.2%
2018年土地調査データ参照:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf
1位に山梨県、2位に和歌山県、3位に長野県と、地方では人口減少の影響などで空き家率が上昇しているようです。
また、別荘も空き家として集計されていることなども、地方が上位を台頭する理由の一つといえます。
大都市としては、大阪府の21位の15.24%が最も高く、人口が多いにも関わらず空き家の数が多いことを示しています。
東京都も、空き家率だけで見れば45位の10.6%と低くあまり問題が無いように見えますが、空き家数ランキングを見れば、その考えが大きく違うことが分ります。