前回は民泊についてお話していきましたが、民泊がどうして拡大したのかをもう少し見ていこうと思います。
経済が成熟され「モノ」が溢れる現在では、シェアリングエコノミーのサービスが多く世の中に普及しています。
シェアリングエコノミーは何らかの形で、消費者(Consumer)同士をつなぐ「CtoCサービス」となっています。
前回のコラムでもお話ししたように民泊は元々はシェアリングエコノミーのサービスでした。
その一方で、ホテル・旅館といえば提供サービスの基準が高い「BtoCサービス」の業界です。
同じようなサービスですが、ビジネスとしては当初は全く違うものでした。
ホテルや旅館の場合、高い評価を得るためには、建物や内装のグレードや、スタッフのホスピタリティ、提供サービスのクオリティなどが必要でした。
民泊も、もちろんそのような観点はあるのですが、それとはまた違った価値があります。
民泊のホテル・旅館とは違う価値とは?
現在、多くの旅行のポータルサイトが存在します。
皆様が利用しているポータルサイトを思い浮かべてください。
国内では、楽天トラベル、るるぶトラベル、じゃらん国外では、Booking.com、Expedia、Agodaこのようなサイトがあげられるのではないでしょうか。
私が感じる、このようなサイトとAirbnbで大きな違いは宿泊前のコミュニケーションの量です。
例えば私がホストという立場で、下記のようなことがありました。
今回はどのような目的で訪日し、どこに行こうと思ってる。
今回の旅行では、このような計画を立てているんだ。
家族と一緒で、家族にはこんな息子や娘がいるんだ。
予約をした際に、このような話が自然と発生します。
前情報が豊富なので宿泊する際には既に知り合いかのような感覚で会う方もいます。
一緒にランチをしたり、知り合いのイベントに一緒に行くこともありました。
宿泊事業者やゲストにもよると思いますが、特に訪日される方にはこの傾向が顕著です。
「CtoCサービス」のため、民泊の多くは個人経営や家族経営が大半でした。
これまでのホテルや旅館と異なり、サービス受給者とサービス提供者という壁がないのだと思います。
そのため、利用するゲストもプライバシーや至れり尽くせりのサービスを求めるというよりは、まるで親戚の家に遊びに来たような、気兼ねなくくつろげるアットホームな雰囲気を楽しみに来ているのです。
今までが「モノ」を消費する時代であったならば、現代はレジャー体験、文化体験などの「コト」を消費する時代に変化してきています。
民泊はまさに、ホスト(地元の方)とのコミュニケーションを求めるゲストへのニーズに応える形で拡大していったといえます。
ただ、近年は、そのような民泊も少なくなっていると感じています。
その原因は個人経営や家族経営の民泊は撤退を余儀なくされたこと、新規登録するホストが不動産事業者などが多く参入してきたことで「CtoCサービス」から「BtoCサービス」に変わっていったことが理由にあげられます。
次回は、今後の民泊や空き家活用で重要な観点について考察していきます。
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