連載|これからの不動産の住居とは?

住居と聞いたら皆さんはなにを思い浮かべるでしょか?

マイホームや賃貸のマンションやアパートになるのではないでしょうか。

私は2年間以上、アドレスホッパーをしてきましたが、住居という括りでも様々な形態があります。

本日は、様々な住居の形態から今後の不動産の価値について考えていきたいと思います。

目次

普通賃貸借契約だけではない住まい

※以下、普通借家契約2年の契約の物件を一般賃貸と記載。

ここ近年、賃貸借契約による不動産の提供だけではなく不動産を通じて「サービス」を提供するという考え方が進んでいるのを実感します。

賃貸マンションで宿泊サービスを行う民泊、飲み会やテレワークなどができるスペースとして提供するレンタルスペース、住み放題サービスなどもあります。

私も様々な家に住みましたが、書き出してみると多くの住まいの形があることがわかります。

  • 一般賃貸
  • マンスリーマンション
  • 民泊
  • シェアハウス
  • サービスレジデンス

最近では新型コロナウイルスの影響もあり、ホテルやホステルなどでも長期滞在プランなどを打ち出しており、これも住まいと呼ぶことができそうです。

こうした背景には人々の生活が多様化したことがありそうです。

例えば、ノマドワーカーと呼ばれる人たちは特定の職場を持ちません。昨年からリモートワーカーも増加したため、常に職場に通勤するという方は減少していくものとみられます。

賃貸仲介をするときには以前は必ず職場の場所を軸に条件を決めていくお客様が多かったですが、最近は気にはするものの条件の優先順位としては下がっているのを多く見かけます。

ある意味、一つの縛りがなくなるような状況で生活の自由度が上がります。

地方と都市などにいくつか拠点をもつデュアラーのような生活をする人もいれば、私のように特定の住まいを持たない生活をする方もいるかも知れません。

色々な地域に行ってみたい方はホテルやゲストハウスに行く頻度が増えるかもしれません。

今後、IOTによりネットワークが車を始めとしたあらゆるものに導入されていく中、生活の自由度は更に上がるはずです。

そうしたなか、不動産の動きは鈍いです。

住まいは普通賃貸借2年でスケルトンの状態で契約する物件が圧倒的に多いです。

私も住まいを探すときは最長1ヶ月で契約できるところを探すのですが、ホテルや民泊、マンスリーマンションのいずれかに基本なります。

シェアハウスなども最低契約期間を設けているハウスが多くを占めています。

その理由は、客付けに発生する費用となにかあった際のデポジットと私は考えており、この解決をするためには不動産のビジネスモデルから見直す必要がありそうです。

世の中のニーズと不動産業界とのギャップ

生活の自由度が上がる一方、従来のやり方から変化に乏しい不動産業界。

ここには、エンドユーザーの望む生活に対応しきれないギャップが発生します。

例えば、最近多いのが一時的に実家を離れたいという希望です。

実家暮らしの方が、新型コロナウイルスを親御様に移したくないので、そのリスクヘッジのために新型コロナウイルスが落ち着くまで一時的に実家を出たいという希望です。

この方に必要なのは、柔軟な契約と家具家電などのサービス、そして物件そのものということになります。

この要望には一般賃貸では対応ができず、マンスリーマンションやホテルで探すのが一般的になりますが費用が合わなかったり、そもそもマンスリーマンションを知らないという方もいます。

一般賃貸とそれ以外の住まいで大きく違うのは、エンドユーザーにただ部屋を提供するだけではないという点です。

建物の瑕疵などに問題なければ成り立つサービスではありません。

民泊やマンスリーマンションのように家具家電が予め備え付けられているようなサービスは、ホテルのサービスに近いです。

常駐するスタッフなどは基本いませんが、その部屋でどれだけ居心地が良い空間を作ることができるか。

民泊やマンスリーマンションなどを転々しているとわかりますが、ちゃんと空間を作れている部屋と作れてない部屋ははっきりわかります。

杜撰な運営をしていると、それは想像以上にエンドユーザーに伝わります。
日々のメンテナンスやケアを怠っていると、自ずと評価と稼働率が下がってくるはずです。

一般賃貸ではこうした居心地というのは入居者に任せることになるので、管理に対するコストが全く変わってきます。

一般賃貸での管理といえば、リーシングマネジメントが大半を占めると思いますが、一般賃貸以外のサービスを伴う管理はトータル的な能力が求められるのです。

不動産の付加価値とは?

最近では一般賃貸でも、サービスを提供するという考え方が広まってきています。

前述したように新型コロナウイルスの影響でテレワーク利用者が増加しました。

しかし、家では家族がいるなかでは思うように集中できません。またネット環境が適さないケースも少なくありません。

そこで、マンション内の共有部にテレワークスペースを作るケースなどもあります。これにより、新型コロナウイルスにより発生した「+もう一部屋」というニーズに対応します。

こうした住まいに不動産以外の価値をつけるという考え方の先駆けはシェアハウスだと私は思っています。

一般社団法人日本シェアハウス連盟の調査によると、2019年シェアハウスの数は約4,800棟まで増えています。

2014年にはおよそ300棟、2018年はおよそ3,000棟のため、急速に増えていると分かります。

これによりシェアハウスが供給過多になり、コンセプトやサービスなど強みがないと客付けに苦戦するシェアハウスが増えてきました。

例えば、特定の職業のみの人が入居できるというコンセプトを作り、コミュニケーションが生まれやすくしたり、毎月のようにイベントを行うというサービスです。

ただ住む場所の提供だけではない、それ以外に入居者にとって価値あるサービスも合わせて提供します。現在は、一般賃貸ではこのようなやり方をあまり見かけません。

しかし、少子高齢化などに伴い世帯数が減り、このままでは空家や空室率が増加することが確定しています。

「このマンションといえば〇〇」というブランディング作りという考え方を導入していくべきだと私は考えています。

ブランディング作りは時間がかかります。早ければ早いほうがよいです。

これまでの不動産は、立地、築年数、面積などのハードの部分で価値が決められてきました。

しかし、今後は、「この物件はどんな生活を提供してくれるのか」という目に見えない価値が重要になってくるはずです。

その価値とは、コミュニティかもしれないですし、コンセプトなどかもしれない。入居者ニーズに対して、その不動産だから応えることのできる価値を作っていく必要があります。

この価値は、ただ設備だけ整えるだけでも作れるものかもしれませんが、その価値上昇には限界があるというのが今の私の所感です。

一定以上のレベルにするには、やはり人が実際に手をかけるというのが重要で、手をかけて作り込むサービスは大きな価値になり得ると感じています。

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