競売物件の買い方:一般の人であれば誰でも入札できる
競売物件の入札方法
競売物件は一般の人であれば、ほぼだれでも入札することができます。
一部利害関係者(債務者)だけは入札することができませんが、それ以外の人は保証人であっても入札に参加することができます。
ちなみに競売物件の入札方法は以下です。
- 裁判所への入札保証金の振り込み
- 裁判所への振り込み証明書の提出
- 裁判所への入札書の提出
- 裁判所への住民票の提出
上記にあります入札保証金の金額は、「売却基準価額」の20%となります。
例として、埼玉県の床面積93平米の住居用の競売物件で計算をしてみますと、不動産鑑定士の出した売却基準価額は750万円。
750万円の20%の金額を入札保証金額となるので、この場合保証金の最低額である買受申出保証額は150万円となります。
競売物件の価格が上がれば上がるほど入札保証金は高くなるので、現金が用意できない場合に入札は難しいでしょう。
競売物件の購入はローンが組める?
競売物件を購入する際に一部金融機関で住宅ローンを組むことはできます。
ただ入札時に振り込む保証金額は現金で用意しなければなりませんので、入札金額をローンで組むことはできません。
また落札後に競売物件用の住宅ローンを組む場合、土地だけでは担保として弱く、融資に消極的な金融機関がほとんどです。住宅ローンを利用して落札を考える場合は、入札前にローンを組もうと考えている金融機関と十分な話し合いをしておくことが重要です。
落札してからローンが利用不可となり購入ができないと、保証金はそのまま没収されてしまいますので、十分な資金計画が必要です。
通常の空き家より安い?高い?競売物件の価格
人気エリアの場合などは落札価格が高くなることも多く、空き家を購入する価格と比べると特段競売物件が安い…というわけではありません。
また所有者自らの意思で売り出している空き家と違い、競売物件の所有者はやむにやまれぬ理由で家を手放すことがほとんどなので、交渉が難航する場合も。価格にはそこまで大差がなくても、取引する際の精神面では競売の方に負荷が大きいといえるでしょう。
競売物件と空き家物件の違い
競売物件のほとんどは占有者(居住者)がいる
競売物件と通常購入の空き家の大きな違い、それは競売物件の場合は占有者がいるということです。占有者のほとんどは物件の所有者ですがまれに怪しい占有者の場合も。
物件の占有者の有無や詳細は、BITからダウンロードできる「現況調査報告書」に記載されているので、よく読むことが重要です。「現況調査報告書」内の「執行官の意見」や「関係人の陳述等」に詳しく記載されているので、どのような占有者がいるのか、必ずチェックしましょう。
ほとんどの占有者は、債務者ではありますがごく普通の人なので、きちんと退去日などについて交渉すればあまり問題になることはありません。
ただ占有者の中には、家から出て行きたくても引っ越すお金もない人もいます。その場合、落札者が引っ越し費用や転居先を見つけるところまでしなければならない場合もあるので、覚悟が必要です。
内見ができない
空き家の購入は内見ができますが、競売物件の場合内見はできません。
「現況調査報告書」に添付された写真や、「執行官の意見」に物件の現状が記載されているので、それを読んで競売に参加するかしないかを決めなければなりません。
執行官の意見の中には「2階の西側の部屋はビー玉が多少転がった状態であった」など、部屋の傾きなどについてなど細かな記載もありますが、注意深く読まないとそうした家屋の状況を読み落としてしまいます。
また、競売物件は家財などがそのままになっている場合もあります。競売の価格はあくまでも不動産の価格なので、家財やごみ、雑草などがある場合は、そのままの状態で落札することになります。家財などの処分は、所有者と話し合いの上で落札者自身で行うことが多いようです。
空き家も同様に家財などを処分する場合はありますが、競売の場合は写真と書類の上でしか現状を知ることができません。そのため、注意深く吟味することが必要です。
裁判所がしてくれることと、してくれないこと
競売物件は通常の中古住宅を購入する時のように、宅地建物取引主任者や不動産業者が建物の重要事項の説明などをしてくれるわけではありません。たとえ調査の不備があったとしても、誰も責任を取ってくれるわけではないのです。
物件にトラブルがあったとしても、落札者が解決しなければならず、裁判所がしてくれることはほとんどありません。
唯一裁判所がしてくれることと言えば、占有者がなかなか退去してくれない場合に強制執行の手続きを行えば、執行官が強制的に建物の明け渡しを行ってくれます。しかしこの強制執行をするためにも、申請のための面倒な手続きが必要となりますし、強制執行で必要となった人件費や荷物運搬用のトラック費用はすべて落札者負担になるのです。