競売物件におけるトラブルとは
競売物件におけるトラブル事例を見ていきましょう。
その1.占有者のタチが悪い
占有者が落札者に対し、「俺に出ていけっていうのか!」「ふざけんな!」などと威圧的な態度をとる場合があります。
その場合には、お金などを用意して交渉するのではなく、裁判所の手続きを進め、引き渡し命令、強制執行と実行しましょう。手続き後は実務などを裁判所から委託を受けた執行官が進めてくれます。
他にも立ち退く際に、家の中の柱や壁などをズタズタに壊して出て行く占有者もいます。 柱など修復が難しい箇所を破壊されてしまった場合、残念ですが解体して建て直すことに…。
「現況調査報告書」では、所有者の性格までは把握することができないため、事前に予測することはできませんが、タチの悪い占有者に当たってしまった場合は、粛々とできる対応をしましょう。
その2.家の悪臭トラブル
競売物件は内見ができませんので、ぎりぎりまで部屋内部のことは分かりません。もちろん「現況調査報告書」に記載はありますが、さすがに臭いの度合いまでは分からないのです。
もともと家が猫屋敷やゴミ屋敷だった場合、壁などにも臭いが染みついており素人の清掃では取ることができません。 また悪臭トラブルのある家は、ご近所ともめている場合もありますので注意が必要です。
その3.残置物
「内見ができない」の文章でも少し触れましたが、残置物についてです。競売は、あくまでも家と土地が対象なので、残置物についての所有権は所有者にあります。そのため所有者と連絡が取れる場合は、残置物の処分について落札者、所有者で話し合いが必要です。
多くの場合は、落札者が処分をすることになるのですが、処分する際に気を付けることがあります。それは、所有者に残置物の所有権放棄書に署名捺印をもらうことです。
いざ落札し、占有者も転居したので残置物を処分したところ、後から「あれは大切なものだった」といって損害賠償を起こされることもあります。そうしたトラブルを避けるためにも残置物の所有権放棄書に一筆もらえると安心です。 撤去についても、どちらが行うかなど明確にしておくとよいでしょう。
残置物の所有権放棄に署名してもらえない場合は、強制執行により処分をすることになります。強制執行を行うための手順については、下記をご覧ください。
引渡命令の申し立て
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発令
↓
「不動産の引渡又は明け渡しの強制執行」の申し立て
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強制執行
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保管
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不動産の公売・処分
強制執行で必要となった手続き費用や、人件費、荷物運搬用のトラック費用はすべて落札者負担になります。
その4.立ち退き交渉の後味の悪さ
これはトラブルとは少し違いますが、競売をするのに向かない性格の人もいます。
占有者を家から追い出すというのは、債務やローンが支払えなくなり困っている人を家から追い出すということです。実際にそうした人を目の当たりにしたことで、立ち退き交渉後に罪悪感を覚え、最終的には罪悪感に耐え切れず家を手放してしまう人もいるほどです。
また残置物などを処分する際にも、家族のアルバムなどが残っている場合があり、それを見て辛くなってしまう人も。
競売を行う際に、自分のメンタル面についても十分考慮するとよいでしょう。